こんにちは。元量販店カメラ担当のふわくです。
長いこと気になっていた、α7S IIIがついに公式発表されました。
フタを開けてみると、かなり動画機能の強化に重点が置かれた機種として仕上がってきたという印象です。
このページをご覧になっている方は、以下のような考えをお持ちではないでしょうか。
- 画素数よりも階調の豊かさを重視
- 高画素なんて子供騙(だま)し
- ひたすら高感度に強いカメラが欲しい
- 動画は撮らないこともないが、どちらかというと写真がメイン
果たして、こんな人が高いお金を出して α7S III を買う意味はあるのか。
真剣に考えた結果、一つの結論が出ました。ご参考になれば嬉しいです。
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動画性能が 「無駄に」良すぎる
α7S IIIは8K動画にこそ対応していないものの、4K動画における総合力を極限まで高めた製品に仕上がっています。
どう凄いかは、このページをご覧になっている皆さんならある程度ご存知かと思いますので、詳細についてはガッツリとカットさせてもらいますが、ポイントをカンタンに書くと・・・
- 4K60pが1時間以上連続で撮れる
- 4K120pに対応
- 10bit記録可能なのはもちろん、外部レコーダーで16bitRAW出力もできる
- 動画でもリアルタイム瞳AFが使える
- S-Log3のベース感度が従来のISO1600からISO160になった
という感じになります。
ひとこと言わせてください。
正直、4Kは編集負荷が高いし、保存領域も圧迫するので、私はいまだにフルHD(1080)がメインです。
そんな人間にとっては、4K60pとか4K120pなんてどうでもよかったりします。
唯一役立つと思うのは、リアルタイム瞳AFが動画で使えるようになったという点くらいでしょうか。
私は普段、動画用カメラとしては、GoPro8をメインで使用しており、手ブレ補正にはそこそここだわってます。でもジンバルは目立つのでなるべく使いたくない。
そんな人にとっても、α7S IIIに今回搭載されたアクティブモードは、かなり頼もしい味方になりそうです。
「すごいのは動画性能だけじゃない」というのが大きな問題
動画機能だけが前面に押し出されたかのような製品に思われますが、実はスチル(静止画)撮影についても強力なポテンシャルを持っているカメラなんです。たとえば・・・
- 944万画素のEVF(電子ビューファインダー)
- α7シリーズ初のバリアングル液晶モニター
- 広いダイナミックレンジ
- 常用ISO感度は80-102400
- 最新機種 α7R IVを超える色再現性を引き出す新開発の画像処理エンジン
- 像面位相差AFに対応(カバー領域もα9/α9 II超え!)
そう。これらの機能さえなければ、私がこのα7S IIIを買おうか買うまいか悩む必要はなかったんです。
まず、944万画素のEVFってなんだよ!
かつて、世界でもっとも高精細なEVFを備えたα7R IVですら、576万画素ですから、その倍近い数字です。
もはや従来の光学ファインダーに匹敵するんじゃないかと言われています。ちなみに私が使用している α9 は367万画素。。
ミラーレス一眼を毛嫌いする一眼レフユーザーは今だに少なくないようですが、その最大の理由の一つが、「ファインダー覗くと萎(な)える」というもの。
そういう意味でも、このα7S IIIは、ファインダーを覗いて感動する初めてのミラーレスになるかも知れませんね。
また、α7S IIIの大きな特徴であるバリアングル液晶は、動画で自撮りをするときにも役立つわけですが、実はこれ、静止画でもかなり使えます。というのも、チルト液晶の弱点が見事解消されたからです。
そう、縦位置でハイアングル撮影やローアングル撮影をするときに液晶が見にくいという弱点 。
私は縦位置で撮影すること多いんですが、それだと、実質的にはチルトじゃなくてパンになってしまう(左右にしか振れない)わけです。
そうなんです。バリアングルは縦位置での撮影をめちゃくちゃ便利にしてくれるんです。
そして、α7Sシリーズといえば、ダイナミックレンジの広さや高感度耐性の強さも大きな特徴です。色再現性についても、新たに開発された画像処理エンジンでガッツリ改良されているみたいです。
あと、像面位相差AFへへの対応は大きいですね。
像面位相差AFというのは、一言でいうと、速度と精度を両立したAF方式ですが、前モデルには採用されていませんでした。
実は、私、以前にα7S IIを買おうか迷った時期がありましたが、これが理由で購入を踏みとどまることになりました。
やはり、動き回る子どもを主な被写体とする私としては、不便なカメラかも知れないと考えたわけです。
でも、α7S IIIなら…動く被写体でもバッチリ追えます!
動画でも瞳AFに対応したということは、おそらくAF性能はスチルのプロ機であるα9と同等か、それ以上ではないかと思います。
他にもある、スチル派のための細かい改良点
連射枚数は、前モデルの秒間5コマから、10コマへ倍増
実は、スチル派にとって嬉しい点は他にもあるんです。
まず、連射性能。秒間10コマ撮れるようになりました。
私が所有する α9 は秒間20コマ撮れますが、正直、実際、動き回る子どもを撮るにしても、10コマもあれば十分です。
上でも書いたように、低感度機好きとしては、当然先代のα7S IIも一時期候補に入ったんですが、こちらは秒間5コマで、さすがに遅すぎなのでこの点でも先代は候補から外れることになりました。
フリッカーレス撮影に対応
最近のモデルには当たり前のように搭載されていますが、 もちろんα7S IIIにも搭載されています。ちなみに、私の α9 には搭載されていません。今のところ、α9に対する最大の不満の一つがこれです。
お遊戯室や体育館などの室内の照明は、蛍光灯やLED照明であることがほとんどなので、普通にフリッカーが発生しますから、フリッカーレスはもはや必須です。
ISOオートで現在のISO感度が表示されるように
ISO感度自動設定をしているときに、現在のISO感度が表示されるようになりました。
今までは表示されなかったので、思いのほか、ISO感度が上がってしまっていることがあります。
Cボタンの配置変更
SONY α7S III | 画像引用元:SONY
αシリーズ名物の便利なCボタン(カスタムボタン)ですが、そのうちの一つ「C1ボタン」が録画開始ボタンと入れ替わりました。
親指が届くこの位置に追加されたことは素敵すぎるとしか言いようがないですね。
一見地味ですが、結構大きな改良点だと私は思います。
一新された画像処理エンジンのおかげでRAW連射時の処理も爆速
画像処理エンジンが数年ぶりに一新されました。
従来の1チップから2チップになって、処理速度が一気に8倍になったんだと。
SDカード(UHF-2RAW)でRAWがバッファが溜らず無限連射できると言っています。
これ結構すごいことですよ。
α9を使ってると、バッファが溜まってしまって、やりたい操作がしばらくできない、なんてことがありました。
これはかなり期待できそうですね。
ということで、BIONZ XRの恩恵は、動画撮影だけにあらず、ですね。
モードダイヤルで、Mモードとムービーが隣合わせになった
SONY α7S III | 画像引用元:SONY
見てください。
Mモード(マニュアル露出モード)とムービーが隣合わせになりました。
従来のα7、α9シリーズは離れていたので、マニュアル露出と動画の行き来が結構面倒でした。
私もマニュアル露出派なので、これはかなりまどろっこしかったです。地味ながら、かゆいところに届く素晴らしい改良点です。
今どき1210万画素ってどうなの??
以前、ニコンのD3s(1200万画素)を使っていたけど、画素が低いことのデメリットよりも、階調やダイナミックレンジ、高感度耐性の高さによる恩恵のほうが大きかった。だから個人的には低画素は超ウェルカム。
とはいえ、正直、1600万画素くらいはあっても良かったかな、とは思うけど。
高画素なモデルは、高感度ノイズが多いと言われますが、最近はかなり改善されてきました。
とはいえ、1ドットあたりの受光面積が物理的に異なるわけですから、同じ画像処理エンジンで同じサイズのセンサーなら、低画素なカメラのほうが高感度に強くなるのは当然です。
この時代に、40万円を超える高級ミラーレス一眼の画素数が1210万画素、というのはある意味非常に付加価値が高いと私は考えます。
1210万画素についてのメリットについて、この動画でわかりやすく語られていますので、ご覧ください。
まとめ | 動画専用にしておくにはもったいないカメラ
α7S IIIは、動画性能が優秀すぎて、動画専用機だと勘違いされがちです。
いや、いっそのこと、動画専用だったらよかった。そしたら、こんなに欲しくならずに済んだのに。。
前モデルの α7S II は、 豊かな階調と広いダイナミックレンジ、そしてSONY史上最強の高感度耐性を誇るカメラということもあり、未だに根強いファンが多い製品です。
そして、 今回、5年もの長い年月を経て、よーーーーーやく発売されましたが、さすがに凄い進化です。α7S IIを一気に 超えてきました。
SONYとしても、本当に動画専用として考えているのであれば、わざわざ高価な944万画素ビューファインダーを搭載したりするでしょうか。いや、ありえません。
でも別に全機能使いこなせなくてもいいんだよ。、結果的にハイスペックな製品を買っておけば、結果的に長く、快適に使える。α7S IIIもそんなもんだと思えば多少は価格にも納得がいくんじゃないか?
ともあれ、写真撮影用としてもかなり完成度の高いカメラであることに違いありませんので、 スチル派の人たちにとっても、 非常に満足度の高い製品になるかと思います。ただ、まったく動画を撮らない人にとってはさすがにオーバースペックと言わざるを得ません。他にも選択肢はあると思います。
ただ、α7S IIIは、決して動画専用機ではなく、全方位で優れたカメラであると言えるので、多少なりとも動画を撮る人で、ご予算に余裕のある方は迷わず行っちゃってください^^
~編集後記~
予約価格が発表されましたが、41万円(税込)を切っています。
当初52~53万円という噂は何だったのか。
ということで、ここに来てかなり揺れている人が多いのではないでしょうか。
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